2013年3月15日金曜日

第10回「鳥取県西部の“常識”から生まれたご当地グルメ。“箸で食べる”茶碗蒸し」その1


鳥取県西部の個性派グルメ、まずはその“基本”をレクチャーします!



日に日に暖かさが増し、鳥取でも春の足音が聞こえてくるようになりました。
春といえば、新たな門出と誕生の季節であり、食べ歩きには絶好の季節!
実は鳥取には、昨年からご当地グルメとして注目を浴びる、“春”と関わりのあるユニークな逸品があったんです。

そのご当地グルメとは、“春”雨入りの茶碗蒸し。

春雨といえば、鍋の具、または中華や韓国料理の定番ですが、それを“茶碗蒸し”に入れるとなると、味は?どうやって食べるの?など様々な疑問が浮かんできます。


全国でも類を見ないご当地グルメ

それは“茶碗蒸し”


そこで今回は12年に誕生したばかりの市民団体「春雨入りだよ茶わん蒸しは愛好会」会長の今出和史さんをゲストに迎え、その全貌に迫っていきます!

おそらく、多くの皆さんは春雨入り茶碗蒸しを見たことがないはず。
そこで百聞は一見にしかず、愛好会の調理担当を務める清水裕文さんが経営する店舗にて、その“重要ポイント”を教えていただきました。



長さは“名刺2枚分”

量は器の3分の1



「えんや」の茶碗蒸しのポイントはなんといっても春雨の“長さ”。
愛好会では、春雨の最も茶碗蒸しに合う長さを決め、1“ハルサメーター”という“公式単位”を作り、推奨しています。
その長さは“名刺2枚分”。
食べてみるとわかりますが、これが「のどごし(食べやすさ)」と「春雨の食べ応え」を両立する絶妙な長さなのです。

さらに、使う春雨の種類にもひと工夫あるとか。
「実は伝統的な春雨入り茶碗蒸しは太く柔らかい春雨が主流なんですが、愛好会では細く食べ応えのある「緑豆春雨」を使って“現代流”にアレンジしているんです」(清水さん)


そして“1ハルサメーター”にカットした“細めの春雨”を戻して底に敷くように入れたのち、上から具を載せていき、特製出汁・溶いた卵を入れて蒸して作ります。
つまり、春雨は具の中では“いの一番”に入れるのです。

「春雨をしっかり楽しんでもらいたいというのもあって、(春雨の量は)一般的な茶碗蒸しより少し多めにしています」(清水さん)



●「“春雨入り”はどれほどまでにご当地グルメなのか」という疑問についても、清水さんに直撃してみました。

☆調査員の聞いた話では、いわゆる「普通の」茶碗蒸しを食べた県西部出身の人が「ああ、この茶碗蒸しは春雨が入れ忘れられているに違いない」と思ったほどだとか。

それほどまでに県西部では“当たり前”であり、同時に県外の人にとっては“驚き”のものと言えるのでしょう。



そして、実は「春雨入り茶碗蒸し」には食べるときの“作法”があります。
愛好会会長の今出さんに食べ方の“お手本”を見せていただきました。



食に用いるは“箸”。

最大の山場は“最後”にあり!


「“箸で食べる”のが基本です。春雨はほとんどが底の方に沈んでいるので、まずは普通に、茶碗蒸しを味わってください」(今出さん)
と三分の二ほど食べ進めたところで、突然手を止める今出さん。
「ここからが春雨入り茶碗蒸しの“ポイント”なんですよ」
そう語るやいなや、なんと箸を入れ、春雨と具をかきまぜてしまいました!
そして、さながら“麺類を食す”ときのように一気に春雨をツルリと流し込みます。
「これで、美味しい出汁も春雨も、残さずキレイに食べられるんですよ」(今出さん)

作るときは“最初”、そして食べるときは“最後”。
それが、「春雨入り茶碗蒸し」の重要なところでもあるのです。




“春”雨を食べて

“春”を迎えよう!


「箸で食べるのがとてもユニーク。そしてヘルシーなのでぜひ女性に食べていただきたいです!」と語るのは会長の今出さん。
「これからも、県西部の文化を伝えるために春雨入り茶碗蒸しを作り続けていきます」と、清水さんも気合十分。

現在はまだ家庭の味が主流ですが、今後「春雨入りだよ茶碗蒸しは愛好会」は、飲食店での提供の増加、鳥取県内を中心にイベントでのPRにもさらに力を入れていく予定とのこと。
春雨入り茶碗蒸しが、全国に“花開く”ときも近い!かも?

※動画中に登場しているのは、ひと足はやく春を先取りしたバルーンアートの「桜」。
実は会長の今出さんはバルーンアートの名手でもあります。さらに詳細を知りたい方はこちら→TOY POPホームページへ


「伯耆の国名物春雨茶碗蒸し」(「えんや御膳」(1200円)の中の逸品)







●取材メモ
昼のランチの中の逸品。
県西部、南部町のお年寄りからレシピを教わったという“家庭の味”は、干ししいたけ、大山どりで取った出汁が実に優しい味わい。
たっぷり入った春雨は、食べ応えしっかりながらヘルシーで女性に好評。アツアツのうちにいただくべし!
ちなみに夜はカジュアルな和風創作の楽しめる居酒屋として男女問わず人気、こちらも要チェック。

●店舗情報
住所:米子市淀江町西原1135-4
営業時間:1100 2400 (土曜・祝前日 1100 2400
定休日:無休
電話:0859-56-1588



●観光情報

「えんや 淀江店」のある米子市淀江町は、大山のふもとにあり、豊かな自然と「上淀廃寺」をはじめとした多数の遺跡が見つかったことから「水と緑と史跡のまち」として知られる。

名物どんぐり料理、温泉、そして古代の文化体験まで揃った「白鳳の里」で豊かな自然と文化のあるマチ・淀江をまるごと楽しんでみよう。

白鳳の里ホームページへ

 

0 件のコメント:

コメントを投稿