2012年8月30日木曜日

第4回「儀式をお忘れなく! 鳥取のチャンポン」その1


第4回「儀式をお忘れなく! 鳥取のチャンポン」


鳥取のチャンポンには食べる前に儀式アリ

九州とは別世界、ニッポンのチャンポン発見!



 まだまだ暑いが、暦の上ではもう秋。そして秋とくれば…1年で最も胃が活発に動く時でもある。そんな時にぜひ食して欲しいのが今回の鳥取“チャンポン”である。
しかし鳥取でチャンポンと聞いて、「そうだ!」という人は相当少ない。実は鳥取県民で「鳥取のチャンポンはよそとは違う」と思っている人は(ほんの1年ほど前までは)皆無に近かった。では鳥取のチャンポンとどんなものなのか。その定義(編集部作成)を発表しよう。


(鳥取のチャンポン三原則)

●スープではなくとろみのある“あん”をかける

●味は醤油系がメインだが、味噌やカレー味もあり

●食べる時はかき混ぜて麺を絡めてからいただく


そう、鳥取のチャンポンは九州のそれとは異なる、中華麺に具たっぷりの“あん”がかかった麺料理なのである。よって注文して出てきた時、丼に麺は見えずアツアツのあんがたっぷり盛られているのだ。これこそ鳥取のチャンポン! “食欲の秋”先取りで食べに行くのだー!



鳥取のチャンポンを知るならまずココ「丸豊食堂」


“あんかけ”である鳥取のチャンポンはもうひとつ大きな特徴がある。それは食堂のメニューということだ。つまり鳥取においてチャンポンは特別な時に食べるものではなく、ごく普通に、昼食に“いつものチャンポン”と等身大に注文するものなのである。
その代表格といえるのが鳥取市のマチナカにある「丸豊(まるとよ)食堂」だ。鳥取県の新キャラ「リトット」とともに、鳥取のチャンポンの魅力を探りに出発なのだ!


●鳥取のチャンポンは“違う”
マチナカの食堂で証明


今回の案内は『とっとりアニカルまつり』の公式イメージキャラクター・リトット。「まんが王国・とっとり」を推進する鳥取県の中で“萌え系”の彼女は、今回のロケが“チャンポン”と聞くや否や「鳥取のチャンポンはよそと違うのだぞ」と、意外と“チャンポン通”の言葉。いざ鳥取の老舗食堂「丸豊」に潜入!

●鳥取のチャンポン
キーワードは“あんかけ”



創業は大正12年、正真正銘の老舗「丸豊食堂」。小上がりの座敷に座ったリトットは、早速鳥取のチャンポンについてスタッフにウンチクを披露。が、その後「ココは初めて来たんだぞ、実はチャンポン食べるの初めてだぞぉ」。ん!チャンポン通じゃなかったのか…ま、その分“正直”なコメントに期待しよう。


●公開!鳥取チャンポンの“儀式”
これをしないと食べられぬ!?

丸豊のチャンポンの第一印象は「あんたっぷり!&麺が見えない!!」。麺はあんの中に“お隠れ”なのだ。よって食べる前には“儀式”が必要となる。そう、箸をグッと入れて「麺をあんと絡める」のである。絡め方は一気にいくもよし、徐徐にやるもよし。リトットはご覧のとおり“一気に混ぜて”いただきますッ!




●あんが絡むと麺が“進化”
これぞ鳥取のチャンポン!

あんが絡んだ麺は輝き、なおかつ出汁の旨味もしっかりついて、これはもう立派な“おかず”。アップで撮影していた本サイト主宰・元TVチャンピオンの植田がたまらずひと言。「食べさせて!」。実家は丸豊から歩いて5分という鳥取人の植田曰く「あんがスッキリ味で、麺が進むんです」。これにはリトットも同意見。


“あん”はトンコツ、鶏ガラ、野菜の天然素材の出汁に豚肉、タマネギ、モヤシ、ニンジン、キャベツ。「シンプルですよ。出汁と具は(二次大戦後まもなくの)誕生以来、ずっと変わっていません。手づくりですね」(店主・西山愛子さん)。



●初食のリトットもハマった
“本当”の「チャン・ポン」

「あんのトロミが絶妙で麺に絡んで美味しい。モヤシの食感も◎、毎日でもいけるぞぉ」。リトットは丸豊のチャンポンに太鼓判。「あんの濃度は気を使いますね。(量も)麺とちょうど“なくなる”ようにしています」(西山さん)。ちゃんと計算されているのが鳥取のチャンポン。それを聞いて膝を“ポン”と打つリトット。「本当の“チャン”“ポン”なんだぞ」








「ちゃんぽん」(580円)/丸豊食堂(鳥取市)

●取材メモ
メインともいえる“あん”は、半世紀にわたり不変のトンコツ・鶏ガラ、野菜でとる天然出汁がベース。いわゆるあっさり味の中にじっくり旨味が溶け込み、「夏でも汗をかきながら(笑)召しあがる方も多いですよ」(店主・西山愛子さん)という人気の逸品。特にここ1年ほどは県外客も“ご指名”で訪れるという。最近ではミニ玉子丼が付いた「ちゃんぽんセット」(840円)も人気。店内はまさにザ・食堂。丼ものなどもお試しあれ。

住:鳥取市本町2-212
営:11:00~15:00
休:日曜・祝日
0857-22-4089


店舗の詳しいデータはこちら









★常連の間で人気のオーダーは「ちゃんぽん&おにぎり」。実はおにぎり(140円)はメニューは乗っていないウラの品。あんを味わいながらいただけばミニミニ“中華丼”。11年にデビューした「海鮮ちゃんぽん」(680円)のファンも増加中だ。


●老舗・丸豊と併せて、鳥取の伝統“城下町鳥取”も散策してみよう。

丸豊食堂から徒歩で約5分

鳥取城跡(鳥取城跡のホームページへ)


「リトット」がイメージキャラクターをつとめる「とっとりアニカルまつり」はアニメカルチャー=アニカルを楽しむイベント。
今年「とっとりアニカルまつり2012」は9月8日、9日に開催だ。
とっとりアニカルまつりホームページへ




2012年8月10日金曜日

第3回「チャレンジ! 鳥取カレー挑戦記」その3


ブラックで“イカす”カレー「あじろや イカスミカレー」


 多彩な味が揃う鳥取カレーの中で、一度見たら忘れられない逸品といえばイカスミを使ったこの逸品だ。前の前に現れた瞬間にまずあがるのは「黒!」という“お約束”の言葉。04年のデビュー以来(初めて食べる人は)その光景は変わらない。
 イタメシではポピュラーなイカスミだが、その独特な香りはカレーとどう合うのか。本連載初、女性スタッフがレポート。



名物の名にふさわしい
ビジュアルインパクト大の品

店の前では日本海のマチらしく“イカ干しマシーン”が回っている。訪れた「あじろや」は山陰海岸の遊覧船を運航する「山陰松島遊覧」に併設する食事処。名物イカスミカレーは真っ黒なルウとイカリング、イカのくちばしフライと“イカ尽くし”。「初めて食べます。“お歯黒”は承知済みです。もちろん」(レポーターA)


イカスミとカレーが大饗宴
マイルドで“いける味”

「え~、こんなにイカスミとカレーは合うんですね」。辛さもマイルドで、レポーターA曰く「誰でも食べやすい。イカスミのクセは感じませんよ!」。「イカスミの生臭みをなくすのに苦労しましたけど、食べやすいカレーに仕上がりました。辛さも相当研究したんですよ」(責任者・川口江美子さん)


カレーのあとはスッキリ味
人気“イカスミスイーツ”

イカスミカレーに続く名物がコチラのイカスミソフト(250円)。多い日は500本近く出るという人気の品は「さっぱりして結構好み。2本いけるかも」(A)というテイスト。こちらも(イカスミの)調合にはこだわった品。「あまり黒いと引いてしまいますからね」(川口さん)。白いバニラと合わせたミックス(250円)も人気。


食べ歩きが楽しい
それが鳥取カレーなのだ

先にも述べたように「あじろや」の横は遊覧船の発着場。「山陰の松島」と称され、底までくっきり見える超美しい山陰海岸巡りとセットでイカスミの逸品を堪能してみよう。老舗から大盛り、個性派と3種を食べ歩いた今回の鳥取ご当地グルメ旅。夏だけじゃもったいない、年中鳥取でカレーを食べよう!












「イカスミカレー大」(650円)/あじろや(岩美町)※おみやげレトルトもあり

(取材メモ)
04年にデビューし、今では岩美町のご当地カレーとして全国的にも知られる逸品だ。県内のリピーターも多く、イカリングにコリコリとした食感のくちばしフライもルウとベストマッチ。「イカスミは肝臓にいいということで、飲んだ翌日に食べられる方も多いですよ」(責任者・川口江美子さん)。実はイカスミソフトも「二日酔いに最高」とか。店舗では目の前の日本海であがった新鮮な魚介類も楽しめる。
住:岩美郡岩美町大谷2182
営:11:00~14:00 ※ソフトは1700まで
休:年末年始
0857-73-1212
●遊覧船、食事はこちらでチェック→http://www.yourun1000.com/

その他の情報はこちら
遊覧後の一息はこちらで『あじろや』



(メモ)★山陰海岸の名所、花崗岩の離れ岩でトンネルのように穴が貫通した洞門「千貫松島」を表現した「千貫松カレー」(650円)も登場。ルウとライスで見事に絶景を再現。こちらもぜひ一度。


2012年8月8日水曜日

第3回「チャレンジ! 鳥取カレー挑戦記」その2


大盛りをはるかに超える

「レストランべるしい スペシャルカツカレー大」




 大盛りの中でも、カレーはルウ・ご飯という“役割が明確な”組み合わせもあり、メジャーな存在といえる。しかしこの逸品は違った。
マスターが持ってきたそのカレーに、K氏(20代だが)は声を失い、40代のM氏曰く「一生無理!」と意気消沈。ただ今回は完食が目的ゆえ2人で挑むことにした。少し安堵の表情になったK氏だが、M氏は「ホントに食べるんですよね」とまだ半ばあきらめ状態。それでもカレーの香りは最強(魔物?)、2人は巨大な山脈に挑んだのだ!




特別に動画“増し”でお届け
スペシャルカツカレー大


ライス2キロ、ルウ1キロ、ポークカツは2枚重ね、それがスペシャルカツカレー“大”の正体だ。その誕生はまずライスを盛る!盛る!!盛る!!!盛る盛る!!!! そしてルウを並々注ぎカツをガツンと2つ!! ちなみに器は専用サイズ、量は“並”の4倍サイズだ。ま、2人だ、“いってもらわん”と困りますッ。




ライスによく合うマイルド味が、食べても減らぬライス


いただきますッ! 「マイルドで食べやすい。これはいけますね」とK氏は笑顔をのぞかせながらハイペースで進んでいく。しかしその楽しい時間は“5分”で急変する。「米が、米が減らん!」「掘っても掘っても出てくる!」。そして危機も訪れる。「ルウがない…!」、普通のカレーと同じペースでルウを食してしまったようなのだ。




大人2名、20分間カレー三昧

ようやく見えた器の“底”


20分経過、するとようやく底が見えてきたではないか。一見すると“あとひと口”に見える。が、ライスが2キロ入る器は底が見えてから結構“ある”のだ。しかしここで2人は付け合わせの福心漬(これも大盛りだ)を投入、「アクセントになって美味!」とラストスパート! 果たして器から全てが“消えた”のか…。




最後に訪れる“感慨”
本気で食べる人のための逸品



“感慨にふける”のとは2人のことを言うのだろう。食後、しばし器を見つめながら次のように語ってくれた。「生半可な気持ちで食べないように」(M氏)、「ルウの配分を間違えないようにしましょう」(K氏)。べるしいの「スペシャルカツカレー大」、それは“本気”で食べねばらない逸品であることは間違いない。






「スペシャルカツカレー大」(1200円)/レストランべるしい(鳥取市)

●取材メモ
十種類のスパイスをブレンドしたカレーはライスにトロ~リと絡む。最初は甘口も、食べるうちにジワジワとスパイスが効いてくる。それゆえ食が進むのだ。デビューは30年以上前。「(当時)高校生が“20円分大盛りにして”と言われて、20年じゃかわいそうでガッツリ大盛りにしたら、それが広まってこのカタチになりました」(店主・谷口昌さん)。優しさが生んだ大盛り、毎年帰省のたびに食す人の気持ちも納得ナリ。
住:鳥取市緑が丘1-11-11
営:11:00~21:30(OS)
休:第3水曜
0857-27-5436


(メモ)★逸品への思いを聞いたところ「値上げをしないようにお出しすることですね」。店名「べるしい」の意味は“食べる美味しい”。きっとたくさん食べることは“喜び”と実感するはずだ。ちなみに“大”はオムライスやスパゲッティなどもラインアップ。取り分けでもOKだが、(いちおう)基本は“1名”。完食すれば夢に出る!?